光触媒の2つの性質

『光触媒』は酸化チタンに光を照射する事でその機能を発揮する事が出来ます。
それは、酸化チタンが光を吸収した時に、その表面で起こる現象の事で、主に大きく2つ事が起こります。

酸化分解力

 『酸化分解力』とは、光触媒の表面にきた物質を分解する反応です。
簡単に言うと、様々な有機物が「二酸化炭素」と「水」に分解されます。

仕組みとしては、酸化チタンに光を照射すると酸化チタン内に電子が励起(れいき)し正孔が生じます。励起された電子は空気中の酸素と反応しスーパーオキサイドアニオンという活性酸素を生じ、これから過酸化水素や色々な活性酸素をつくります。これらの活性酸素が有機物の酸化分解に寄与していると考えられています。
また、生じた正孔は非常に強い酸化力を持ち、有機物を直接酸化しているとも考えられており、これを適切に利用すれば、実に様々な化学物質や有機物に対して酸化分解を行うことが出来るのです。

 例えば、壁や家具などの基板上に酸化チタンの薄膜を塗布すると、大腸菌やMARSなどの病原菌を殺菌する事が出来ますし、アセトアルデヒドやメチルメルカプタンなどの悪臭物質、あるいはタバコのヤニや油分などの汚れの原因となる有機物質が分解されます。しかも蛍光灯などの微弱な光源によっても有効に作用する事が確認されています。

 生活空間を浄化し、清潔な環境を保つことのできる大変効果的な性質なのです。

 

超親水性

 超親水性は「ちょうしんすいせい」と読みます。
親水性の真逆の効果として『撥水性(はっすいせい)』があります。撥水機能はスポーツウエアや一般の衣服にも使用されるようになってきているので皆さんにも馴染みがあるのではないいでしょうか。
撥水機能がある衣服は、水を弾き衣服に染み込まず、水が球状になりコロコロと落ちて行きます。
『撥水』に対して『親水』は表面に薄く広がる性質で水との親和性が高い状態になる事です。

 撥水・親水をグレードで分けると『超撥水』『撥水』『親水』『超親水』の4つに分類できます。それぞれの違いはコーティング表面との「接触角度」です。

 光触媒である酸化チタンを塗布した面は疎水性を持つため最初は撥水状態になっています。
しかし、光を照射する事で酸化チタン表面の構造変化が起こり超親水性へとなります。

超親水性を持つことで『セルフクリーニング効果』というメリットを生み出してくれます。

光触媒である酸化チタンを塗布した表面に油汚れなどが付着した場合、超親水性が発生している変わりに油を浮かせる状態になっています。そこへ水をかけたり雨が降る事で油汚れと酸化チタン表面の隙間に水が入り込み、汚れと一緒に水が流れていく仕組みです。

下の動画は『笑ってコラえて!』に光触媒とその発見者である藤島昭 東京理科大学学長が出演したもので、非常に分かりやすく説明をしてくれています。

 

 

まとめ
光触媒の2つの性質 = 『酸化分解力』『超親水性』
『酸化分解力』 = 菌・悪臭物質・汚れなどの有機物質を水と二酸化炭素まで分解
『超親水性』 = 撥水の真逆で塗布面に水が薄く広がってくれる
超親水性から「セルフクリーニング」の機能が発揮できている